ドビュッシーのピアノ演奏聞けます

 なんと、ドビュッシー自身のピアノ演奏が残っていることが判明した。といってレコードじゃなくて、知っている人は知っていると思うけど、ピアノ・ロール(自動ピアノ)という機構に「録音」していたのです。
 このピアノロールというのはDAWのそれではなく、実際のピアノを演奏させることができる、一種の巨大オルゴール機構(…が組み込まれたピアノ)らしい。「録音」のときは、ロール紙に打鍵位置と時間、打鍵の強弱情報、そしてペダルの情報が記録される(少なくとも当時のものは)。
 「再生」のときはこのロールを機構に掛けると、演奏者が弾いたとおりにピアノが自動演奏されるんです。凄いでしょ? 20世紀初頭に作られたもので、動力は空気圧らしい。

 ガーシュインのピアノロールがあることは知っていたが(昔FMで聞いた、これも凄い演奏)、まさかドビュッシーもあったとは。

 いまCDが出てて、ちょっとサンプルを聞いてみたが、澄み切った甘やかで美しい響きのピアノで、まさにドビュッシー作品のイメージそのまま、って本人だから当たり前かもしれないが。これはピアニストとしてもかなりの腕前ですね。

 ピアノロールだから、レコーディングは最新なわけですよ、ロール機構の演奏を今のスタジオで録音すればいいので。
 このCD、ドビュッシーの有名曲を網羅していて、びっくりです。(つまり本人演奏のロールが多数残っていたんですね)

 ただし、ピアノロールは、実は演奏者の全ての演奏情報を記録できるわけではないのです。打鍵の強弱だけで、打鍵速度は無理だし、力の微妙な掛け方やゆらぎ、さらに鍵盤を弾いたあとの動き(MIDIならアフタータッチ)のようなものも無理です。
 だから「そのもの」ではないんだけど、それでもドビュッシー自身の演奏が聞けるというのは、非常に驚くべき話です。

 解説を読むと、ペダルワークが絶妙らしい、そしてテンポが譜面より速かったり、それどころか違う和音を鳴らしている曲もあるとか(ジャズのフェイクのようなものかも?)。

 ご興味のある方はサンプルだけでもどうぞ。「コンドンコレクション ドビュッシー」で検索すると出てきます。

(このピアノロール=自動ピアノ自体が、歴史的に貴重な機械らしく、博物館等でメンテされながら動態保存されてるそうだ)

追伸:どうやら一部ストリーミングでも聞けるようだ。