楽譜作成ソフトのこと

 楽譜販売を始めたこともあり、楽譜作成ソフトについて調べていたら、去年あった「大事件」のことを思い出した。この分野の三強は、Finale、Sibelius、Dricoですが、もっともユーザ数が多かったFinaleが、去年開発終了が発表されていたのです。関係者の間で大騒ぎになっていましたね。

 その理由というのがなかなか興味深いもので、なんとこれ以上のバージョンアップやサポートが困難になったから、というのです。歴史あるソフトなので(だからユーザ数も多い)、プログラムコードが数百万行におよび、修正や機能追加が難しくなった。それらのコストや手間に鑑みて、ビジネスとして続けるのが難しいから……という何ともやり切れない理由でした。
 専門性の高いソフトなので、相対的にはともかくユーザの絶対数が多くなかったということでしょうか。

 といっても、この8月まではサポートが続けられており、これで本当に終了だそうです。パソコンにインストール済のFinaleはそのまま使えるが、新規や再導入は不可能。そこでDricoへの移行を推奨しているらしい。(Dricoは一番新参で、Steinberg/YAMAHA製)

 実際のところは、DAWの楽譜作成機能でも、プレイヤーに渡すレベルなら、ほとんどの場合は問題なく使えると思うんですね。ただ売り物にするような浄書が必要になると、途端に苦しくなる。そこは餅は餅屋の世界になってくる。

 一応オープンソースで無料のMuseScoreというソフトもあるが、試しに使ってみたらいきなり三連符を補助線なしで「3」とだけ表示して、浄書には荷が重いっぽいイメージ(一応、出せるらしいが)。これならDAWのがたぶんマシ…。(普通に使う分には非常に良くできたソフトですよ、念のため)

 楽譜作成ソフトを使っていると、これは一種のワープロだなと思えてきます。音楽の言葉を記すツールなので。