ドビュッシーと黒人音楽

 ドビュッシー、音楽史に巨大な足跡を残した作曲家でありながら、たった百年前に生きていた人なので、歴史上の人物というよりほぼ現代と繋がっている感じでものすごく面白い。写真もたくさん残っているし、ピアノロールもありますしね。

 ドビュッシーの「ゴリウォーグのケークウォーク」という曲がありますが(冨田先生のアレンジでもありますね)、これは愛娘のために書いたピアノ曲集の一曲です。かなり風変わりな、言ってしまえばファンキーな曲😀ですが、なんとアメリカの黒人音楽をヒントに書かれた曲だそう。ケークウォーク(CAKEWALK)というダンス音楽がアメリカにあるのを知り、それを取り入れたんですね。Youtubeに白黒のダンス動画あったけど、2ビートで2拍目にアクセントがあり、ジャズの源流のひとつになったラグタイムの親戚筋のようだ。

 そしてゴリウォーグというのは黒人キャラ縫いぐるみ人形で、当時流行していたようです。(後に人種差別的なアイコンとしても知られるようになったが、当時はそんな文脈ではない)。要はゴリウォグがダンスしているイメージなんでしょう。
 さらに、曲中でワーグナーをパロっている箇所もあり、かなり攻めている曲といえそうです。
(ドビュッシーは音楽の革命家だったので、旧来の保守的な権威層からは随分批判され、逆にドビュッシーも、当時主流のワーグナー系重厚長大・理論ガチガチの音楽を批判していたそう)

 なかなかにエピソードの宝庫で、曲ももちろん素晴らしいし、面白いところです。
(CAKEWALKという名は、DAW Sonarを出していたアメリカのソフトメーカーの名でもありますね)