MIXにおけるサミング(バス)の問題
ミキシングしてて意外なことに気付いた。DAWによって違いが出てくるだろうから、一応ProToolsの場合としておきますが。
マルチトラックをミックスダウンする場合、例えばストリングス、ドラム……といった具合に、楽器の種類ごとにステムを作って音量を調整する手法がありますね。ドラムなら、キック、スネア、ハイハット……と各楽器を集めたバスを作って(ドラムバス)、これをまたマスターに流すって形式。ウチも迷わずそうしていますが、音量調整が非常にやりやすくなります。
ところが、例によってアナログシンセの多重録音で5声のパートを録音して、声部ごと2回重ねて合計10トラック。これをステムにしてバスに通していたんですね。パートの一体感を出すためにバスコンプを入れたり外したりして効果を試していましたが、ふと、バスを作らず各パートを直接マスターアウトに流したら、音が変化するか試したくなった。
結果びっくりですが、実際に各トラックの分離が良くなり、音が変化しました。逆にいえば一体感はなくなった、5声がバラバラな感じ。
つまり、バスでサミングしてそれをマスターに流してまた(他のトラックと)サミングするのと、直接マスター入力でサミングするのとでは、音に違いが出るってことです。一見デジタルだからそんなの同じに思えるが、アルゴリズムもあるだろうから、やはりどの段階でサミングするかで音の微妙な質感が変わってしまう。
アナログミキサーのサミングで変わってくるのは当然でしょうが、まさかデジタルでもはっきり違いが出るとは思いませんでした。他のDAWでも差異は出ると思います(各DAWごとに癖がありそう)。
そしてバスコンプを使わなくても、バスに通すだけである程度の“一体感”は出るってことが、この比較で判明した。
ウチはまだ使ってないが、アナログのサミングをエミュレートするプラグインもありますが、今後の検討課題。
ただ、ProToolsを使うようになって、あまりにマンガチックに「色」がつくようなプラグインは、使わなくなった。音の透明度が高いから、ああ色付きのやつ使ったね……ってはっきりわかるから。原音やら録り音で勝負したくなってくる。
とすると次の段階はハードだけど、ウチはまだそこまでは到底無理。💧 ボーカルの録り音はシンガーさんの環境次第、って事情もある。
まあとにかく、初期モータウンやブルーノートに倣って、今の環境でできる最大限+αのことを、アイディア&工夫でやっていきます。